感想掲示板

2017年度新歓本「大正桜」 - ことぶき

2017/12/02 (Sat) 13:28:22

新歓本『木漏れ日』に関する意見・感想をお寄せください。
また、なんやかんやは続けて掲載します。

Re: 新歓本「大正桜」 - ことぶき

2017/12/02 (Sat) 14:04:08

「解読」(作・池田須磨)

○作者より
教授へのいら立ちを文章にしたらこうなった。

○他の人からの意見・感想
・普段純文学ばかり読んでいるが、こういうエンターテイメント寄りの物も楽しめた。言葉遊びが楽しかった。ただ、全体的に饒舌すぎる。この作品は権威主義的なものに対する反抗(アンチテーゼ)だと読み取ったが、それだと、はっきり「権威主義ってどうなんだ」と書いてあるのは良くないと思った。また、登場人物がいまいち生き生きとしていない。語り手が登場人物の解説をしてしまっているので、もっと登場人物のしぐさややりとりから暗に伝えるようにした方がいいと思う。

→アンチテーゼと言われればそういうつもりで書いたかもしれない……?神の視点で書きましたね。(作者より)

・最初のあたりでコツコツ進んでいる感じがした。うまい具合に騙された。玄人を騙すものとしてかなり有効だと思う。ふつうこういうシリアス寄りの物はギャグなどを飛ばしていくものだと思っていたが、この作品はギャグに真相が隠れていたので、とても衝撃的でつい読み返してしまった。

・テンポがよく読みやすかった。最初からしょーももない文章を解読しているなとは思っていたが、思ったよりしょーもなかった。地の分が多く人物像が薄くなっている気はしたが、この作品において人物像はそこまで重要でないのでいいかなと思う。

・三人称ではなく教授目線で書くことは考えましたか?
→最初は教授をdisるためだけに書き始めたので、教授視点だとわけがわからなくなると思った。(作者より)
→まあギャグなのでどちらでもいいような気はします。

・途中までしか読んでいなかったが、話をきいていて気づきが多くあった。メールの文章からここまで変換するのがすごいと思った。
→最初は送り狼から思いつきました。(作者より)
(ただ送り狼という言い回しを知らない人がちらほらいた。)

・まず感想として、面白くまとめてあった。すっきりできた。次にキャラを立たせる必要性について、僕は必要ないと思った。SSをよく読むので、そのせいかもしれない。キャラでなく全体の話の面白さが大事だなと思って最初から読んでいた。語り手が何者なのかを気にしてしまうので、未来の話なのに現代に根差して話してくるこの語り手は何者なんだろうと思ってしまった。

・皆さんいろいろ言っているが、自分は書いてあるものを素直に受け入れるタイプなので、最後のオチに驚かされた。あと、この色味のない文章が好きだった。

→色々指摘していただきありがとうございます。ちぐはぐさを楽しんでいただけたらいいと思います。(作者より)

○最後に作者より
かなり好き嫌いの別れる作品だなと思った。どちらにせよ読んでいただけただけで嬉しいです。

Re: 新歓本「大正桜」 - ことぶき

2017/12/02 (Sat) 14:17:42

「運命の輪」(作・古河聖)

○作者より
文章が長くてごめんなさい。書き出しはかっこいい女の子が書きたかっただけだが、気付いたら男の子がとんでもないことになった。疾走感しかないです。小ネタも挟んでいるので、気付いてもらえていたらうれしい。

○他の人からの意見・感想
・読んでいて、「日常」という作品と同じ波動を感じた。

・長めでしたね。最初から最後までこのノリで突っ走ったのはすごいと思う。米印が多い。特に後半くどい。
→そういうネタだったんですが、確かにくどかったからかもしれません。(作者より)

・正直、自分が好きな作品の範疇には無かった。何が読みづらかったかと言えば、三点リーダが多かった。描写を放棄しているのではないかとすら思えた。確かに疾走感のためには描写の省略も必要だったかもしれないが、キャラクターを立たせるためにはもっと三点リーダで省略されている部分の描写をもっとしっかりすべきだと思った。

・長いのが気にならないぐらい面白かった。テンションとテンポが好きだった。主人公がよかった。

・いろいろ聞いていると、スピード感を大事にしているようだけど、たしかに三点リーダを減らしてしまったら軽快さが失われて逆にくどくなってしまうような気がしたので正解だと思う。

・「日常」がいい疾走感を持っているのは漫画だからであって、それに似た疾走感を文章のみで表現するのはなかなか困難だと思った。

・たしかに三点リーダの効果は認めるが、多すぎたらくどいので、減らした方がいい。
・目安として半分ぐらいがちょうどいいのではないか。

・日常は小説版も出ている。最初に似ていると言ったのは、それの小説版に似ていたので言った。

・三点リーダの量は多くの人の課題だと思うのですが、例えば腕のまくり方ひとつでも人柄が出るので、より簡潔な描写でより人物像を立体的にする方向にすればいいのでは。

・確かに三点リーダは多いが、この辺は読み慣れの問題な気もする。自分は大衆小説ばかり読むので、こういう小説も純文学も読まなかったが多少慣れた。文章で説明するのは大事だが、これにおいてはそれがいらないぐらい勢いがあった。あと、きゅんってなってるときの描写がもっと欲しかった。

・一番最初の注意書きが一番効果的な説明になっていると思った。小説の中でもできることとできないことがあるが、こういう注意書きを堂々と書くことでその範囲を拡張することができている。

・三点リーダ問題について、そもそもジャンルが違うのだから仕方ない。

・あまり新入生の前で言うことではないが、「いつものだ!!」という感じがした。最後の改ページが絶妙だった(→偶然)。三点リーダ問題について、なぜラノベと純文学で書き方が違うのかというと、ラノベはエンターテイメントとして読みやすくしたものなので、描写によって人物像を表そうとすると、ラノベの良さである「あまり考えずに読める点」が失われてしまいかねない。

・主人公がものすごいギャグ時空にいるのはわかるが、ぶっ飛んだ人がもう一人欲しかった。
→メイド長の戦闘力は53万くらいです。(作者より)

・最初の注意書きは、あった方がいいとなくてもいいの間ぐらいだと思う。「日常」で言う舞ちゃんポジションがいたらよかったなと思った。

・普段通り読みやすかったです。

○最後に作者より
書いてるときはあまり考えていなかったが、気付いたら複雑な物語が構成されていてびっくりした。原稿提出直前に付け足した最初の注意書きが好評で嬉しかった。

Re: 新歓本「大正桜」 - ことぶき

2017/12/02 (Sat) 14:34:01

「きなこねじりと」(作・田上あひる)

○作者より
部誌に掲載されたのが初めてなので緊張しています。
ボディコン着たお姉さんが意外と優しいということを書きたかったのと、きなこねじりがたべたかった。

○他の人からの意見・感想
・なぜきなこねじりなのか。と思ったが、最後まで読んだら登場人物の関係性などもちゃんとわかったし、人間関係のねじれときなこねじりのねじれをかけているのだと分かって感動した。

・口紅は口に入ると変な味がします。(作者より)

・きなこねじりという文字列が綺麗で好き。
→きなこねじりとかりんとうで迷ったが、かりんとうは固くって苦みも強いのでやめた。(作者より)

・主人公の女の子と話の中の女の人が対照的でよかった。

・きなこねじりというお菓子を知らなくて、ごまだんごでもよかったんじゃないかと思ったが、最後まで読んでやはりきなこねじりじゃなくてはいけないのだなとおもった。

・読点が多いのでは。
→設定上、丁寧な話し方を表現しようとした。(作者より)

・歯磨きのシーンに萌えた。片方だけが敬語っていうのが萌えた。
→歯磨きシーンに関しては歯医者につなげたかった。敬語に関しては、「お母さんがしっかりしてたから私も」などというのを表現したかった。ノスタルジックを表現したかった。(作者より)
→その点においてきなこねじりをチョイスしたのはとてもよかったと思います。駄菓子はおばあちゃんなどの懐かしいものを連想しやすいから。

・似たようなフレーズが最初と最後に出てくるのがとても好きだった。(違うものを最初と最後に似たようなフレーズで描写)
→最初は3人称で書いていたが、編集長がことぶきだし許されるかなと思って締め切り直前に書き直した。(作者より)

・子供らしさやほんわか感がうまくかけていてよかった。今とはちがう昔の子供らしさがうまくかけていた。

・全体の雰囲気づくりが上手。すごくほっとした感じで読み終えられる。その雰囲気を支えているのは作者の感性だと思う。子どもの感受性の豊かさなどがうまく表現できている。

・記憶の回想のシーンを一人称で書いているが、セリフをかぎかっこではっきり書いてしまうと思い出してる感がない。無理に口語で書くより、旦那視点で書いた方がよかったのでは。一人がずっと喋っていて、動きが伝わらない。旦那の動きが伝わってこない。
→正確に思い出しすぎかなとは思ったが、地の文でうまく表現する方法が分からなかった。(作者より)

・自分が読んでいる時点では、これを聞いている旦那の気分にはなれた。
→書いている時に、旦那さんとして、愛しい人が話しているときどんな話し方をしてくれたらニコニコして聞いていられるかなと考えて書いた。(作者より)

・漫画の過去回想ではそれを語っているとき現実の人の動きは描かれてないし、そういうのを見ている感じでした。これに関しては違和感があるかどうかは人によると思う。
→昔話とかは、おばあちゃんとかが暖炉に向かって延々と語り続けているイメージがあるので、自分はそういう風に受けとった。
→私自身が延々と語ってしまうタイプなのでそういう風に書いてしまった。
衝撃的な印象があれば多少正確に思い出せるのかなと思った。(作者より)

・歯を磨いてもらった後に語るなら、磨いてるときに話した方がよかったんじゃないか。親切でない。
→自分が昔母に歯を磨かれているときに長話をされたのが嫌だったから……

○最後に作者より
なんだか5年分ぐらい一気に褒められた。1人称でしか書けない病なので、頑張りたい。

Re: 新歓本「大正桜」 - ことぶき

2017/12/02 (Sat) 14:56:41

「ふたつの人形」(作・大江山時雨)

○作者より
なんやかんやっていいなと思う。今回の作品は、初めて完全に(読者への配慮をあまり関係なく)自分のためだけに書いたものなので、どういった反応が得られるのか楽しみ。

○他の人からの意見・感想
・全体的に女の子2人の喋り方もいい。Bump of chickenの「カルマ」の歌詞のようだとおもった。世界感に入れるのもいいし、満たし合っているようでどこか描けている二人がしんどい。

・百合いいっすね^~ 予想して心配していた結末と違ってほっとした。

・物質的な欠けと精神的な欠けが、二人のどちらかが完全に欠けることでしか埋まらない、けっきょく完全に埋まることはない感じ。しんどい。

・世界観はふわっとしているのに二人は真剣に生きているというギャップがよかった。

・最後、人形に取り付ける描写を省いていたのがよかった。

・実存主義などが浮かんだ。読んでいて非常に引き込まれる内容だった。

・人形がふたりでなくふたつと表現されているのがとてもよかった。
→そこはとてもこだわって気を付けていた点なので嬉しい。(作者より)

・私たちを作ったのは誰なんだろうという疑問が出ていますが、裏話などはありますか。
→まだ書いていない作品とつながる予定なので言えません。(作者より)

・ちゃんと普段使うような言葉でドキドキする感情が表現されていてよかった。
→137ページの瞳を交換するところで、この作品はもうそういう方向にしようときめた。

・人形の大きさは?
→小学校2~3年の女の子のつもり。(作者より)

・地の文が秀逸。自分はよくグリム童話を読むが、まさに童話の文だ、と思った。
哲学的なことはよくわからないが、もやもや感がよく表現されていた。
世界の境界にあたるところで口論をはじめるところもよかった。

・133ページの会話が、どっちの発言なのか一瞬わからなくなって戸惑うことがあった。
この人形は硬い感じだと思っていたのに頬が膨らんだのでびっくりした。
また、うでが取り外し可能と分かったときにこれは片方が全部持って逃げるパターンだと思ったがそうでなくて安心した。
→人形としての質感と表情の豊かさの双方の折り合いの付け方に苦労したのは事実。
一応ファンタジーなので、顔はなんか魔法の力で動いていると思ってください。(作者より)

・双方のパラメータが近づいて行って逆転して、生命力の受け渡しが行われたのかな、と解釈した。
→生命力やパワーバランスというよりは、役割の交代を意識した。(作者より)

・エロい。無機物であることによってちょうどいい感じになっている。人形の外界での扱いが気になる。
→それに関して、川端康成の作品に「片腕」というのがあるのでぜひ読んで下さい。
→身体論について触れたかったのは事実。大切なのは魂なのか体なのか。自分は昔から、心の中で生き続けるみたいなよくある終わり方に納得がいっていなかったので、それへのアンチテーゼでもある。

○最後に作者より
人外が好きなので皆さんもぜひ。

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